飛騨高山

Y氏からのたっての願いで、この連休は飛騨高山に行ってきた。

遠いしせっかくの3連休だしと、すこしためらったのだが途中まで迎えに来るというので、

それならばと図々しくも行く気になった。


群馬県下仁田で待ち合わせ。

群馬まで来てもらえるのと、上信電鉄というローカル鉄道に乗りたかったのでそこにしたのだった。

高崎でJRの改札を出ると、随分と追いやられた場所に上信電鉄のホームがあった。

バスの整理券のようなペラペラとした切符を買い、11:03発の列車に乗る。

2両編成の列車は殆ど空気を運んでいるような状態。気の毒になり増収のために記念切符を買った。

途中で乗り込んできたバアサマがどっかと隣に座ったが、いったいどうしたことか

動物の死臭のようなトンデモない悪臭を放って閉口した。都会のルンペンの100倍強烈だ。

2駅で下車したが、車内にニオイが残らなかったのがフシギなぐらいだった。

電車は住宅地や田んぼの中、最後は登り勾配が待つ山の景色を走り抜け退屈はしなかった。

南蛇井という駅に近づくと、次はナンジャイ、ナンジャイとアナウンスするのが面白い。

終点の下仁田ではちょうど秋祭りの日に当たっており、村人たちが集まっており山車を出発させる

ところだった。たまたま訪れたところでこういうイベントに当たるとわくわくする。

他の町の山車には絶対に手を触れないように!など、注意事項がなされたあと、お神酒が振舞われたが、

部外者の私も、お祝いの日ですから…とのことで頂いてしまった。ラッキー。

近くに居た人に話をしてみると、今はここから離れて暮らしているが、祭りのために呼ばれた…

とのことで、こういうムラ社会の出身者は3連休も自由にならないのだなぁと思った。


30分ほど待つとY氏が到着。高山からわざわざご苦労様である。

安中榛名駅に美味い蕎麦屋があると言い出したが、今からそんなところに行ったらトンでもない

逆戻りになると言って、国道254号を長野県方面に向かってもらった。

ドライブインがあったので、そこでヒルメシ。閑散路線なので食べられるうちに食べとかないと。

下仁田コロッケ定食750円を注文。下仁田といえばコンニャクとかネギだろうになぜコロッケ?

とフシギだったが、コロッケの中にコンニャクが入っていると新聞記事の切り抜きがあった。

しかしアピールのわりには、美味くも不味くも無かった。

それにしても3連休初日の昼だというのに、余りにガラガラでこっちが心配になった。

佐久インターから上信越道に乗り、松本インターで降りる。意外に近い。

松本からは国道158号で一路高山へ。道は広いとは言えないし、大型バスの交通量が多く、

結構時間がかかる。Y氏には申し訳ないが眠気を覚えたので、うとうと。

平湯温泉で神の湯に立ち寄り一浴。500円。じゃっかん硫黄っぽい香りのする湯で、もちろん掛け流し。

露天風呂で湯量も申し分なく、客も少なめ。Y氏と、これは最高だと言い合う。

ここに来る前に、平湯の大駐車場近くにも入浴できるところがあったのだが、

駐車台数の余りの多さに一体どんな状態になっているのだろうかと危惧しパスして、

ほかに入れる温泉は無いのか探していたところだったのだ。


高山駅近くのオリオンプラザホテルに17:30頃チェックイン。

設備は超古く、どこかの部屋から魚を焼くニオイがして、ナンじゃこりゃ!とビビった。

一瞬、昔居た会社のボロ寮を思い出してしまうほどだった。

3千円台だから仕方ないかと思ったが、この前の5連休で泊まった福島市のホテルも同じような値段だったが、

ウォシュレットは付いてたし、設備的に見劣りすることはなはだしい。

だいたい今時和式の共同トイレなどというホテルがどこにあるのか!?と落胆したが、

部屋や寝具は清潔だったので、ぜいたくは言うまいと気を取り直す。


高山に来たのに、まったく高山の観光は無し。

さっそく、Y氏の予約した「厨」(くりや)という和風居酒屋に飲みに行く。

居酒屋と言っても非常に落ち着いたたたずまいで、イイ感じのカップルとか、ワケアリオヤジ+若いコ

組み合わせが似合うようなところで、ワタミで騒いでるような若者は間違っても来ないような店だ。

思わずへぇ!と感心して、来たことあるの?とY氏に聞くと1回も無いという。れれれ…

値段が心配になって品書きを見るが、意外に安い店で安心する。

飛騨牛さいころステーキとか、富山産の干物の炙りとか、とにかく食べたいものをどんどん注文して、

ビール、芋焼酎を飲むという、至福なひと時を過ごす。

が、Y氏がそわそわした様子を見せはじめた。

「な、もう一軒行こ! スナック!!」 

えー!? つまみをもう1〜2品頼んで居座って、最後はどこかで高山ラーメンかと思ってたのに…

4合徳利に焼酎を残して、店を後にする。結局2人で1万円ぐらい。厨はオススメの店だ。


スナックはY氏の行きつけらしいのだが、迷っているのかしばらくうろうろ。

途中で、建設作業員らしきご一行から、このへんでいい店知りませんか?と声をかけられるが、

Y氏が「予算は1億円ぐらいですか?」などとトンでもないことを言い出した。あわわ。

すみませんを連呼してその場を去る。

やっとスナックを見つけて入るが、我々のほかに客は無し。不景気だなぁと思ってしまった。

Y氏は馴染みのようで、ママと女の子2人とで軽く飲みながら雑談。

しかし、だんだんY氏の様子が怪しくなる。

カラオケが歌いたいと言ったので曲を入れるも、画面も見ずにママにアヤしい視線を投げかけ出すし、

次第に、表情が目まぐるしく変化する竹中直人状態になってきてしまった。

これはマズイ。既に1軒目で酔っ払ってしまっていたことを知ったが、いまさら遅い。

自分も、他の子と「たむらぱん」がどうのとか、「aiko」に似てるとか

くっちゃべってる場合ではなくなった。

ママが気を利かせて、今日はもう帰ろうか!と言ってくれた。助かった。

が、ママはY氏に支払いの紙を渡すと、Y氏は頼むわと言って、こっちに寄こしてきた。

おーい。誘っておいてどういうことよ… ママも呆れ顔。

自分の財布のだけじゃ心もとないので、Y氏の財布を取り上げて中を見ると、なんと3千円しか無い…

どうしたら、それっぽっちの手持ちでスナックなんて言えるんだ…!!

カードも使えない店で、本当にギリギリで間に合って店を出る。

Y氏は立って歩けない状態。店の子がタクシー呼びましょうかなんて言ってくれるが、

そんなことされてもタクシー代も無い状態だったので、強引にY氏をおんぶして歩く。コノヤロメ〜。

途中で高山ラーメンの店を見かけて、2軒目は最初からここにすりゃ良かったと後悔。

ホテルに着いて、Y氏を布団の上に放り出す。

こんな調子じゃ明日起きてこないと思い、Y氏の部屋のカギも預かることにした。

近くのコンビニでウコンの力を買ってきて、Y氏に勧めるも、ゆすっても叩いても起きやしなかった。


翌日は、いつまでも起きてこないY氏を起こして9時半にチェックアウト。

再びY氏のクルマに乗って帰路につく。

安房峠に寄ってもらうと、穂高連峰はうっすらと雪化粧。見事な眺めだった。

国道158号は紅葉の上高地へ向かう観光客のせいで、対向車線は10キロ以上も渋滞していて、

まことに気の毒としか言いようの無い状態だった。

山梨の勝沼まで送ってもらってY氏と別れる。そこからJRで帰宅。

Y氏も行き帰りの運転で大変に違いないが、こちらもどっと疲れが出た高山行きであった。