滝観洞

滝観洞

釜石は朝夕は結構涼しくなり、エアコン要らずで快適だった。

時間帯によっては窓を閉めなければ寒くて仕方ないぐらい。

本を読んだり、山田線のローカル列車の汽笛を聞きながら、

昼近くまでゴロゴロして過ごし、盛岡の田舎に向けて出発した。

いつも仙人峠や笛吹峠を越えていたが、今回は時間に余裕があったので、

箱根峠を越えて、滝観洞(ろうかんどう)に立ち寄ることにした。

滝観洞はJR釜石線上有住駅そばにある、全長880メートル(本当の全長はもっと長い)

の洞窟で、観光ルートの最終地点では「天の岩戸の滝」という滝が待ち構えている。

この滝が洞窟内の滝としては、日本一の規模を誇ると言う。

お盆休みだけあって、駐車場はほぼ満車だが、もともとの駐車場の規模が小さいせいか、

観光客でごったがえしているという感じではない。

きっぷ売り場で800円を払うと、隣の建物でヘルメットと長靴を身に着けるように言われた。

ヘルメットはどれもこれもキズだらけで、若干不安になる。

入口には、「料金を払わないと電気が消えることがある」と書かれていたが、

洞窟の中で真っ暗になったら、お手上げだ。

入洞すると、いきなり冷気に襲われる。半そで姿では涼しさを通り越している。

足元はコンクリで舗装されていたりして結構楽勝!と思っていたのもつかの間、

すぐに頭上が低くなり、ガン!

その後も何度も頭をぶつけた。ヘルメットは絶対必要だ。

しばらく行くと、白い看板。「八ツ墓村」のロケ地云々と書かれていた。

確かにそんな雰囲気はある。

足もとは岩盤むき出し状態で。通路に沿って水路が流れているが、手すりが無い場所も

結構あって、スリップして水路にドボンという危険性もありそうだ。

もっとも手すりが無い場所は水路は浅そうだったが。

洞窟の中に祀られているナントカ観音を通過し、

30分近く歩いて、行く手の方から滝っぽい音が聞こえてきた。

最後に屈んで進む場所を通過し、天の岩戸の滝が現れた。

確かに日本一を謳うだけあって、おぉ!と思うものだった。

写真を撮ったりしてしばらく過ごし、再びもと来た道を行く。

入口から200メートル付近で、ヘルメットが一つ落ちていた。

もしや水路に人が落ちているのではと思い覗き込んでみるが姿は見えず。

まあ大丈夫だろうと思い、出口まで持っていったがあまり気分がいいものでない。

やがて洞外に出て、なんとなくほっとする。

それほど有名とは思われない洞窟ではあったが、所要時間が小一時間近くもあり、

見事な滝も観られて満足した。