岩殿山・稚児落し

昨日は、午前2時に帰ってから寝っぱなしで、ふとんから這い出したのが夕方5時。

貴重な休みを一日パーにしてしまったというアセりもあり、

今日こそは何か行動するのだ。

天気はグズグズして、小雨がパラツキそうな気配だったけれども、、

ハイキングガイドをパラパラ見て、山梨の大月にある岩殿山に行くことにした。

川口を出たのが午前10時。山登りにしてはまったく遅い出発だ。

武蔵野線・中央線に乗り継いで、大月には12時前に到着。全部普通列車だけども鉄道は速い。

大月駅では、バァさんの弁当売りの呼び声に誘われて、オススメの

「ほろほろランチ」という駅弁を購入。1,150円。これは山で食べることにする。

小腹が減ったので、駅ソバ屋で、吉田のうどんを食す。350円。

きゃべつ・人参・油揚げが乗って、見た目は吉田のうどんぽい。

摺種(すりだね)という唐辛子を練ったような薬味を勧められたので投入。

量が多すぎてヒハヒハ状態になってしまった。


駅前をすぐに左折、岩殿山登山口の看板のある「さつき通商店街」を歩く。

飲食店ばかりで商店街というより飲み屋街という雰囲気。正月2日で殆どの店が閉まっている。

途中銭湯があった。

商店街とはすぐに別れを告げ、東電へ向かう踏切へ、道なりに行くと桂川を渡る高月橋に出る。

大スラブが見事な岩殿山が眼前広がる。

中腹には「岩殿城址」の大きな看板があるが、岩殿山戦国大名小山田氏の山城だったそうだ。

橋を渡ると道は登りに。わき道から来たパトカーの警官に凝視された。不審者じゃないぞ!

やがて、道路左手に岩殿城跡入口と書かれた登山道入口。舗装された階段状の道からスタート。

舗装とジャリの整備された道を登り、どんどん高度を稼いでいく。

岩殿山の由緒が書かれた看板が出てくるが、写真に収めるだけにする。

ひっきりなしに、くぐもったようなシャーッシャーッという音が聞こえてくるが、

どうやら、眼下に見える中央高速から聞こえてくるようだ。気分台無し。

階段を登り、あっけなく丸山公園に到着。プラネタリウムのある立派な休憩所があるが正月で閉館。

円墳のような展望台に行くと、「丸山山頂 標高444.4m」の立て札。大月市街が一望だ。

ここで、水を忘れたことに気付き、自販でQooを買う。130円。高い…

しばらく景色を楽しんだ後、岩殿山に向けて出発。

「浅利方面へのハイキングの方は兜岩付近が地形上危険を伴うのでご注意」の看板が立っている。

私が進む方向のことを言っている…

舗装された登山道をジグザグに登る。汗が噴出し、フリースの上着を脱ぎ、首にタオルを巻く。

稚児落しと岩殿山との分岐に差し掛かるが、まずは岩殿山へ。更なる急登。

揚城戸跡という城の遺構を示す看板を過ぎて、すぐに道は平坦になった。

山頂付近の稜線に出たようだ。平坦な道を行くと、「馬屋」の表示。

こんなところに、どうやって馬を連れてこれたのか不思議で仕方ない。

ゴミが散乱している箇所を過ぎ、ひと登りで山頂に到着。岩殿山頂ではなく、烽火台の表示。

付近はテレビ局のアンテナが林立。昔=烽火で今=アンテナの対比が面白いと思ったけども、

景色的には興醒めだ。

座りこんで汗を拭っていると、ジャージ姿の手ぶらのオバサンが早足で過ぎて行った。

まるで近所のジョギングのようなそのいでたちを見ていると、

ここって、ハイキング気分で来るような山じゃないのかなぁと思ってしまった。

来た道を戻る。四阿を備えた展望台があり、山頂よりこっちのほうが眺めがいい。

曇空の色に殆ど同化しているが、富士山もキチンと見えている。

デイバッグを持ったオジサンが一服していた。やっぱりハイキングの山だよなぁと一安心。

分岐点に戻り、今度は稚児落し方面に向かう。

道は舗装ではなくなり、狭くなった。枯葉で覆われており、砂が浮いていて滑りやすい。

あぁもったいないと思うぐらいに高度を下げて、築坂という峠に到着。

クマ出没注意の黄色い看板が目に入り、長居無用とそそくさと通過。

再び登りになり、しばらく行くと、分岐になった。どちらも兜岩に向かうルートだが、

左は「岩場経由」右は「林内経由」とある。当然岩場経由だ。

やがて、ダランとぶらさがった鎖が見えてきた。下部はトラロープがある。

まあ鎖など無くても登れる程度の岩場だった。

すぐに二ヶ所目の岩場にさしかかった。カニの横這いとまでは行かないが、

岩壁の中腹をトラバースする。山側に手すりがあるので安心だけども、

落ちたらタダじゃすまなそうだ。そこを過ぎると、再び鎖。ここも鎖無しでも大丈夫そうだが、

下りるときにはさすがに重宝するだろうと思う。

岩場の上部に辿りついた。少し離れたところから下を見ると、

まるきり垂壁の上に立っていることが分かり、高所恐怖気味の私は足が震えた。

しばらく行くと、小さな祠が現れた。これから先の安全をお願いして先に進む。

相変わらずふかふか落ち葉の道を行くと、異様な迫力で「稚児落し」が見えてきた。

垂直高100メートル以上の断崖絶壁で、戦国時代の悲話にまつわる場所。

追われる身となった戦国大名小山田氏一行が、胸に抱いた稚児の泣き声を追っ手に聞かれるのを恐れ

ここから突き落とし、母親もその後を追ったという。

確かにここから落ちたら一巻の終わりだ。

安全柵も何も無いから、あまり崖っぷちに近づきたくない。

変なヤロとか居ないよなと、思わず辺りを見回した。

いや、もう既に誰かが落ちていたりしてとか嫌な想像もしてしまった。

ここを過ぎると今回の行程の見所も無くなってしまうので、

大月駅で買った「ほろほろランチ」を食べることにする。

弁当のフタを見ると、「食鳥の王者ほろほろ鳥」の文字とともに、なんかマヌケな

感じのトリの絵が描いてある。

甲州ワインオリファンロゼ付」とも書いてある。おぉ、ワイン付きか。

開封すると、ほろほろ鳥の燻製が3〜4切れと、ご飯、フライドポテト、レタス、エビフライ

かまぼこ、などなどがあり、左手にミニサイズのワイン。

養命酒カップみたいなのが付いている。これで飲めということだな。

燻製はマァマァの大きさで、確かに美味かった。

しかし、ワインと燻製だけが突出しており、弁当屋が、いかに弁当として成立させようかと

苦心したように思えた。ワインは自分には甘すぎだった。

でも、これまで歩いてきたルートが一望でき、スバラシイ景色を眺めながらのメシというのは

やっぱりいいものだ。

下山に取り掛かる。ふかふか落ち葉の下に滑りやすい浮き砂というコンディションは相変わらずで、

何度もコケそうになりながらも、急勾配の下りを慎重に進む。

鉄の階段を下り、右手に進むと人家が見えて登山道は終了。あとは、ひたすら普通の道を歩く。

大月駅では、ちょうど滑り込んできた上り電車に乗る。グッドタイミング。

今回は雨にも降られず、また岩殿山から稚児落し方面は一人の登山客ともすれ違わず、

静かなハイキングが楽しめた。

また、全行程道標が整備されて、非常に安心できたのは良かった。