家族
図書館から借りたDVD、山田洋次監督の「家族」を見た。
時代は1970年というから、私が生まれる少し前の話。
九州長崎の伊王島の炭鉱で働いてきた家族が今の暮らしに見切りを付け、
もともと北海道で酪農を営んでいる友人(?)からの誘いもあり、
北海道の酪農で新しい生活を迎えることを決意し、移住することになった。
で、北海道に移住してからの苦難を乗りこえながら家族の絆が深まって…などのハナシかと思ってたら、
島を離れて北海道まで移動するまでの内容だった。
夫婦とじいちゃんと小さい兄妹の5人が、九州から北海道に移動する。
今だったら、普通にありえる話だが…
ところが、この映画のすごいのは、旅の途中で妹の体調が急変して、上野で死亡。
北海道に着いたら旅行の疲れのためか、じいちゃんが死んでしまう。
いやはや、イラクじゃないのに、国内の移動で死者が2人出てしまうのって、そう無いだろう。
なぜ、死んだか。
まず、新大阪での新幹線乗り継ぎまでの3時間で、大阪万博見物をしようとして疲労したこと。
たった3時間しかないのに、万博見物!? ありえん。万博会場への移動だけでバタバタする。
プラス、鉄道での移動が問題だ。狭い4人ボックス席でひたすら揺られているのは、
小さい子と年寄りにはかなり負担だと思う。
貧しい一家の話だから、難しいかもしれないけども、新幹線を使うくらいなら、
九州〜東京、上野〜青森を寝台特急を使えば良かったのだ。
それとも、直接九州から北海道までフェリーで行ってしまえば、寝転がれるし、そう疲れないと思う。
映画の流れからすると、そういう疲れない路線での内容では盛り上がりに欠けるので、
ダメだろうけども。
もっとも、この映画は移動で2人死ぬとか、そういうことに光を当てているわけではなく、
高度経済成長期の流れに翻弄される家族、核家族時代への突入など、一昔前と現在の端境期の日本を
垣間見せるという意味で、素晴らしいと思った。