金山鉱泉

高川山からの帰り、どこかで温泉に入ろうということになった。

以前に登った岩殿山からの帰りに、金山鉱泉というのがあったなぁと思い出して、

そこに行くことを勧めた。

大月から金山鉱泉までは数キロの舗装道路に過ぎないが、なかなか険しい道のり。

離合不能な道幅が続き、岩肌にへばりつくように建っている鉱泉宿が見えてきた。

ちょっと先の駐車スペースにクルマを置き、宿まで歩く。

宿は「山口館」という。玄関を開けると、女将というよりも主婦っぽい人が出迎えてくれた。

日帰り入浴代の500円を払うと、いま風呂がふさがっているからしばらく待って欲しいとのこと。

この宿のこどもがやってきて、しばらく時間つぶしに相手をする。

こどもは祖父と富士山に登ったことがあるという。大したもんだ。

その子が去った後に、テーブルの上に置いてある機関車トーマスで遊んでいたら、

別のこども(多分兄)がやってきて、取り上げられてしまった。

宿にはファンヒータが付けられているが、それくらい寒い。

やがて、風呂に入っていた人たちが出てきた。若い家族だった。

宿の人の案内で風呂場に向かう。どうも風呂場は2箇所あるようだが、

今日は1箇所だけしか使ってないようだ。

大人3人が限界というような小さな木の浴槽だが、かけ流しなのはうれしい。

ただ、湯量は多くない。

洗って浴槽に入ると、なにやらフワフワと浮かんでいる。あーっ!さっきの家族のアカか!?

人がいないときだったら良かったなぁ。

シャワー・カランの湯もどうやら鉱泉だ。非常に肌触りが良い。

フワフワは気になったが、山歩きの疲れがだいぶ癒された感じ。

風呂上り、女将からは今度はぜひ泊まりで…といわれたので、

「日帰りだけではもったいないですよね」と返事するつもりが、

「もったいないですよね」だけ答えていたようで、友達からなんて失礼なことを言うんだと

あとで言われてしまった。しまった。

クルマで山道を下るときに、肌の調子が非常に良いことに気づいた。

成分が薄そうな感じがしたが、なかなか良い湯だ。

そういえば、宿の子の顔は、いかにも温泉が効いているような肌理が細やかだったなぁ。