ハシゴ

上司の課長が今月半ばで定年退職をするので、送別会を催した。

もっとも、最近では事業所内のメンバーが全員揃ってというのは難しいので、

部内だけとなった。

更にそのうち1人が出張で都合が悪くなり、たったの6人だけになった。

丸の内の雰囲気の良い創作料理の店だったが、しょっぱなに出されたのが、

ラスクにハチミツをかけたものだった。

料理としては、別に悪いということはないが、

最初に乾杯でビールを飲むわけだし、それに合うかということを考えると、

いくつも疑問符がつくシロモノだった。

まぁ、その後に出されたのはそれなりに食べられるもので、酒もそれなりに進んだ。

いろいろと話をしているうちに、2時間が過ぎてしまい、あっさりと1次会で解散となった。

東京駅で課内のメンバーと別れたあとで、なんとなく物足りないなぁという気になって、

神田で下車。

旭川ラーメンの旨い店があったよなぁと記憶していたが、閉店してたのか、

見つからずじまいだった。

北口に「伊勢」という焼き鳥の店が目に留まった。一体どんな店か分からなかったが、

ふらっと入ってみると、立ち飲みだった。

お勧めのセットらしい焼き鳥のコースとビールを一本を注文。

半分ナマっぽいようなというと語弊があるが、柔らかい新鮮な感じの焼き鳥で

結構イケた。

が、どうしてもラーメンが食べたくなり、東十条で下車。

東京ラーメンマリオンに向かう。以前にも立ち寄って、味が落ちたなと思ったところだが、

酔っている身としては別に問題とはならない。

案の定、マリオンは前回思った「味が落ちた」という感想を持つこともなく、

まぁまぁだなと思って店を後にした。

しかし、酔っ払っているときに入ったラーメン屋にしらふの時に入ると、

なんでこんなのを食べようと思ったんだ!?と言うことになりがちだから用心するに越したことはない。

さて、マリオンの後はまっすぐ帰ろうと思ったが、東十条駅までの小道に、

たちのみばぁと書かれた小さな店が目に留まった。

バーかぁ…静かにシングルモルトでも一杯飲んで帰ろうかと思って店に入ると、

なんと焼酎しかない店だった。

ありゃーと思ったが、芋焼酎を注文する。

ほかに一人客が居たので、何となく話をする。自転車が趣味の一つだそうで話が弾んだ。

やがて、もう一人客が来て、また何となくハナシをして、店のマスターが

そろそろ姫が来るよ!と言ってきた。

姫? どんな女性かなと思っていると、ナヨっとした女性っぽい感じの男性だった。

そっち系のヒトだったのかなぁと思ったが、別に気にもならなかった。

ゴツいオヤジが無理やり女装しているんだったら、逃げ出すかもしれなかったが。

しかし、まったく酔いが廻っていたので、ふだんのシャイな自分からは考えられないぐらいに、

その姫も含めて、マスターとお客のみなさんと終電近くまで、楽しい時間を過ごすことが出来た。

ただ、自分の場合は、最初にわぁーっと盛り上がってしまうと、イケナイのだ。

2度目3度目となると、話すこともなくなってくるのが目に見える。それが苦痛なのだ。

これが最初から寡黙に飲んでれば、次回も店に来ることはあるのだろう。

基本的にネガティブなんだろうな。