草津温泉(1)

学生時代の部活の同期の集まりで草津温泉に行ってきた。

毎年この時期に集まりを持っているのだが、いつもクルマを出してもらっている、

T氏が今年は仕事で不参加というので、今年は早起きして自転車で行ってみることに

した。

朝5時発のはずが、寝坊してしまい6時出発。

川口の産業道路を北上し、7時に、国道17号の日の出町に到着。

国道17号を自転車で北上するのは5回目。もうすっかり慣れてしまい、淡々と進む。

信号待ちがやたらとあり、飛ばしても(飛ばす足が無いが)しょうがないので、

時速20キロぐらいで走る。

追い抜いていったクルマが次の信号で引っかかっているのが見える。

8時に鴻巣市の袋交差点に到着。アピタがある。

8時30分に、熊谷駅前。

9時に深谷市の国済寺。

曇り空だが、こういうときこそ日焼け止めが必要だった。

10時に、群馬県高崎市の新町検問所。

検問所からパトカーがサイレンを鳴らして国道に飛び出してきた。

「前の車交差点を左に曲がって停まりなさい!」

何をやらかしたのだろうか、命令されているのは普通の営業車だった。

このまま国道17号を走ると遠回りになるので、藤岡から県道13号に入り、

前橋方面に進む。

利根川にかかる横手大橋に来ると、「←利根川自転車道線」の標識。

川沿いの道は蛇行していることもあり、距離が伸びるリスクはあるが、

アップダウンは比較的少ないだろうと思い、自転車道利根川を北上してみることにする。

しばらく走ると、「県道403号 大規模自転車道 利根川自転車道線」の標識が出てきた。

どこまでこの道が続くのか不安だったが、「大規模」の文字を見て何となく安心する。

ところどころに、公園や休憩スポットがあり、なかなか整備状況は良い。

アップダウンはあるがキビシイものではなく、クルマを気にしながらの国道17号とは

大違いで、この道を選んでよかった。

11時近くになり、群馬県庁や前橋ドームが右手に見えてきた。

間もなく、河川敷のグラウンドで、どこかの高校が野球の練習をしているのが見えて、

サイクリングロードはしばらくの間、ネットで覆われた。

11時20分。国道17号坂東大橋とクロスする。

案内の看板を見ると、「渋川サイクリングロード」などと書かれている。

いつの間に利根川自転車道線は終わったのだろうか。

ここで、国道17号に入ろうかどうか迷ったが、サイクリングロードの終点が気になり直進。

左手に、電気化学工業の工場が見えてきた。35%塩酸のタンクが目にとまる。

いきなり大地震が来て、タンクが転がってきたらどうしようか。

大正橋に来ると、サイクリングロードは川から離れて、少しの間国道17号の歩道区間を走る。

子持バイパスを横断歩道で渡り、その先で再び川沿いにサイクリングロードが取り付けられていた。

草津56キロ」の道路標識が見えた。

現在時刻は11時40分だから集合時刻の15時までには到着するだろう。

吾妻橋をアンダーパスすると、なんとなく道が悪くなってきた。鯉沢の交差点が橋の向こうに見える。

確実なのは、鯉沢の交差点で国道353号に入り草津方面に向かうことなのだが、

あくまでサイクリングロードの終点にこだわる。

やがて、吾妻川公園で「利根川自転車道 終点」の木杭が現れた。11時50分。

鯉沢まで戻るのが面倒なので、当てずっぽうに走る。

道はJR吾妻線としばらく並行していたが、県道に至る道に入ると、急勾配の登りに差し掛かった。

河岸段丘独特の坂道だ。速度が10キロまで落ちる。鯉沢まで戻ればよかった。体重も恨めしい。

県道に入ると、下りの向こうに更なる登りが見えてきた。がっかり。

国道353に戻る橋があるので、迷わず渡る。しかし、平坦なのも最初のうち。

12時。上越新幹線と交差するあたりに到着。河床が大分下のほうに見える。

この先もアップダウンが続く。

小野上温泉に入る前から、ポツりときた。

ん?

天気予報じゃ、曇りだったはずだ。

やがて、中之条に入るとポツが、アカラサマな雨になってきた。

道もすっかり濡れきって、水溜りもできている。

ドロヨケが無いものだから、速度を上げると巻き上げた水が顔面にかかるので、抑速しながら走る。

群馬原町駅で一休み。1時間に一コの割合で、ヤマザキのミニチョコパンやベビーチーズ

食べながら来たが無くなってしまったので、CCDドリンクに手をつける。

国道はかなり交通量が多く、マイカーをはじめ大型車も多い。

路肩が狭い箇所もあるし、泥水は浴びせかけられるし散々だ。

こうなると予報よりも現実にあわせなくて対応を考えなければならないが、なんとなく走り続けてしまった。

道路の気温表示は8度を示している。半そで半ズボンで来たが、これを見たら急に寒くなってきた。

岩島駅に立ち寄り、H氏に電話してみる。

H氏は既に草津に到着しており、気温は1度、雪だという。これを聞き、この先の行程の未練は無くなった。

I氏に電話して、長野原草津口駅からピックアップしてもらうことにした。

自転車はI氏のクルマに載るか分からないので、カギをかけて岩島駅に置いていく。すっかり泥んこだ。

13時30分。走行距離144キロ。

乾いた服に着替え、14時の電車に乗る。長野原草津口は2つ隣の駅だった。

後から特急で来るK氏と合流し、I氏とY氏、K氏と私で、集合場所の道の駅「草津運動茶屋公園」に向かう。

ここに来るたびに、なんというヘンテコなネーミングなんだろうかと思う。

だいたい「運動」と「茶屋」が結びつかない。

運動茶屋があるのなら、スポーツ料亭はあるのかと言いたい。

草津運動公園でいいじゃないか、茶屋が邪魔なのだ。

時間通りに皆集まって、ベルツ通りからちょっと入ったログハウスに入る。

冷たい雨はやむ気配無し。

…群青色に染まる夕闇に、高々と浮かぶ月、針葉樹林に囲まれたログハウスのテラスで、

BBQの赤々とした炭火を眺めながら、シングルモルトを片手に語り合う

…と言った素晴らしい光景は幻と消え去った。

雨なので、BBQは中止し、鍋になった。

しばらくして温泉に入り、やっと人心地ついた。冷えた体が回復していく感じがした。

ログハウスに戻ると、重大なことに気が付いた。岩島駅に駐輪した自転車のロックを前輪だけにしていたことだ。

これでは、クイックリリースで前輪だけ外して、フレーム・後輪と持っていかれてしまう。

A氏の手を煩わせてしまったが、再び岩島駅まで戻り、自転車をピックアップしてもらう。

夕飯は、鍋を突付きつつ、ビール・ホッピー・梅酒・日本酒・ウィスキーなどと進んでいく。

鍋はありきたりの材料だったが、こういう雨の時はなかなかいいものだと思った。

いつもご乱心のY氏は、最後はニヤニヤしながら、いつのまに寝所に消えていった。

いろいろ話をしたが、いつの間に皆さん自転車に興味を持っていたんだなぁと思った。

今回8人参加したが、私を含めて4台もの自転車が揃った。

23時30分。睡魔に襲われて就寝。