ぼくにもできる展

ぼくにもできる展

本当に前のヤロは頭がイカレてる。仕事だってのにヤキモチ焼くな!

こっちが話しかけたら「ハァ?」とか「へぇ」とか生返事。

が、カノジョが話しかけたら相好を崩して、尻尾振ったイヌみたいにはしゃぎまくり、

まったく、会社にデートしに来てるとしか思えない。

こっちはみんな仲良く…と思ってんのに、おかしな恋愛バリア張ってんじゃないっての!

だからと言って、こっちが淡々としてれば、それも気に入らないのか、机の引き出しをバン!とやる。

ムカつくから、早く結婚して居なくなれ!

と、相変わらずクサクサしながら、会社を出た。


丸の内仲通りのクリスマスっぽいイルミでも見てけば、ちょっとは気分転換になるかなと思い、

今日は有楽町駅じゃなくて東京駅まで歩いていった。

しかし、イルミをみても、まあきれいだね・・・ぐらいで、あまり気分転換にならなかった。

こっちの頭までヤツらの毒気に当てられて麻痺してしまったのか。


東京駅に入ったら、丸の内南口でイベントをやってた。

こども達がなんか作業をしている写真パネルがいくつか展示されてて、

木彫りの作品や、織物、タイル細工などがワゴンに並べられていた。


「ぼくにもできる展」


鉄道弘済会 弘済学園という知的障害・自閉症児者施設の展示会だった。

失礼な言い方だけど、作品はどれも意外なほどの出来栄えだった。

多分、「ぼくにもできる展」には、ワタシのレベルでは出品できないだろう。

施設の子のみんながこんなに上手く作れるとは思わないけど、

知的障害のある子たちは、全てにおいて能力が劣っているわけじゃないと思った。

ランチョンマットが手頃だったので2枚買った。


健常者と障害のある人とは、同じ人間なんだからと言いながら、意識的・無意識的に関わらず、

どこかで線を引いていると思う。

能力の差はどうしたって出ることもあるだろうし・・・

けど、一生懸命に作品に向かって仕上げたであろう彼らの姿を思い浮かべると、

日々不満タラタラで人のせいにばかりする自分には無いものを持っているんだなぁと思った。

能力の有無よりも何かに向けてひたむきに取り組むということ・・・それこそがより価値あること。

そんなふうに、心洗われそうなことを考えてたら、会社のムカツクことが少し薄れた。