友達と

チャーシュー麺

組合関係で、久々に出張があった。

この時期にしては珍しく快晴で、遠くの雪山がはっきり見えてきれいだ。

組合関係の所用は昼で終わり、その後友達と会った。


昼飯に友達お勧めのラーメンを食べに行った。駐車場は満車で、期待が持てる。

チャーシュー麺大盛りをオーダー。

出てきた麺の上に鎮座するチャーシューは特厚。ラーメンに乗せるレベルを超えてる。

腹ペコな状態の時には、あれもこれも食べたい!って感じになって、つい大盛りなどを

頼んでしまうものだけども、結局食べ進むうちに、やっぱり多かったということになりがち。

今回もそんなわけで、普通にしとけばよかったなぁと思ったけど、美味かったから完食。

友達は普通盛りだったが、それでも満腹になってしまった。

しきりに「せつない」を連発している。

寂しさ、悲しさ、恋しさで胸が締め付けられるようなときに、「せつない」って言葉を使うけど、

腹一杯で腹が苦しいときに「せつない」を使うのが面白かった。

自分が学生時代を過ごした当時は、あんまり旨いラーメン屋がない土地だよ、と思っていたが、

最近は様子が違うようだ。


昼飯後は、買い物に付き合いで、自分には余り縁のなさそうなこじゃれた雑貨屋へ。

若向けのモノが溢れる店内に、「ゲルマニウム温浴」グッズが置いてあり、目にとまる。

「ゲルマ…」という響きがオドロオドロシイ感じ。ゴジラ対ゲルマとか「有り」な気がする。


その後、友達の飼っていた犬の墓所にお参り。途中で、花屋に寄る。

友達はチューリップを私はアネモネを選ぶ。

もう一種類ぐらいクッションとなるような花を選べば良かったかもしれない。

友達は間もなくこの地を離れて、更に遠いところに引っ越す。

だから、亡くなってしまった犬くんに、ずっと友達を見守ってくれるようにお願いし、

手を合わせた。


友達の家に戻ったが、腹の調子が悪い友達は、しばらくダウンして寝こけてしまった。

さっきお願いしたばかりなのに、犬くんは、あんまり見守ってくれてないんだろうか。


調子が戻ってから、しばらく友達と話した。冗談ばかりだったけども。

友達のカレシとも、少し話した。

ボイスチャットというのを通しての話だったけど、発声してから若干のタイムラグで、

ヘッドホンから自分の声がリフレクトしてくる。なんて詐欺師みたいな声なんだと落胆した。

こんな声のヤツに話しかけられても、あんまり嬉しくないなと思った。

自分自身の声に気を取られてしまい、会話に注力できず、話す内容がアヤしくなってしまった。

ボイスチャットというのは自己嫌悪マシンだと断言する。


友達が精神的にとても苦しい状態にあることを知ってから1年近く経った。

しかし今、暗いトンネルを抜け、新しい生活に向かおうとしている。

喜ばしいことだから、笑顔だけでいられればと思ったのに、

今より気軽に会えないくらいに遠いところへの引越しになるからだろうか、

悲しくなってしまい、涙が出てきてしまった。

友達は、別に国外に行くわけではないし、メールとか気軽に…と言ってくれた。確かにそうだ。


次にこの地に来るときには、友達はここには居ない、部屋にも別人が住んでいるかと思うと、

この1年間のことが、まるで夢か幻のようだ。

そう感じながら友達と別れた。