霊園

昔の谷中霊園(HPから

ここのところ雨続きで、自転車は会社のそばに置きっぱなしだったが、

今日は一時的に雨が上がり、これはチャンスとばかりに、乗って帰宅した。

久々の自転車だったので、なんとなく寄り道しながらになってしまった。

上野公園を通り抜け、適当に走っていたら、消防団か消防署か分からないけど、

とにかく消防っぽい人たちが、小さな消防ポンプの操作の訓練をしているところを

見かけた。

一度は通り過ぎたが、「ナントカカントカ ヨシ!」と確認しながら、訓練をしている様子が

ちょっと気になって、戻って消防のほうに足を向けた。

消防の人たちをチラチラみながら、キビシイ世界だなぁと思いつつ、どこへ行くか分からない道を

進んでいくと、民家が途切れてしまい、周りが墓だらけになってしまった。

今更戻るのも、さっきの消防の訓練に再びかち合ってしまって、何となく気まずいナァという感じがしたので、

それはやめた。

さて、墓地を出るにはどうするかと思いながらノロノロ進んでいくと、案内板が出てきた。

谷中霊園」とある。

ここは、有名な谷中霊園だったか…全然気が付かなかった。

園内の地図を見ると、自分がいる場所から霊園を脱出するには迷路みたいなくねった道を行かねばならない

ことが分かった。

昼間ならともかく、夜だよ…ヤダなぁ。

道路の舗装はやがて途切れてしまって、大きな墓でどん詰まってしまった。

右に曲がって、細い道に入る。

なんか、気配を感じた。

まさか、Uさんじゃないよなァ、幽…

気のせい気のせいと思っても、さっきから誰かがこちらを窺っている気配は消えない。

何なんだ?と思って、見回す。

近くに、墓石の上に乗ったネコが、こっちを見てた。バカネコめ!

ちょっと太い砂利道に出たので左折し、その道を行く。

太い道だからと言って、全然ホッと出来ない。

谷中霊園は都会の墓地だから、周りの明かりで、夜でも薄ぼんやりとしているけど、

それで余計に墓石が妙にはっきり見えてしまい、不気味さに拍車をかけている。

ゾンビに囲まれるというような、いらんことを考えてしまった。雑念は出ていけ!


砂利道をまっすぐ行くと、民家が見えてきた。が、出口は見当らない。

民家を右手にみながら、抜け出る道ところは…と探しながら、今度は石畳の道を行く。

しばらくすると、左手の墓地の核心部のほうから、かなり明るい懐中電灯のような光が見えた。

懐中電灯の光は、どんどんワタシのほうに向かってくる。

こんな夜に、墓地の中で何やってんだろうか…と考えたら、どうも尋常でないヒトである可能性が高いのでは

という結論に達し、ちょうど見つけた墓地の出口から一目散に逃げ出したのであった。