拾い物
会社の入っているビルのトイレに、小銭入れが置き忘れられているのを見つけた。
もしかして会社の人のものかなぁと思って、その中に入っている名刺を見てみたけども、
全然心当たりの無い人のものだった。
どうしようか。
「ネコババ」「放置」「届け出る」
某ライフカードのCMみたいな選択だ。
曲がりなりにも善良な市民であるワタクシには、「ネコババ」という選択肢はありえない。
ま、バレて逮捕されちゃうのがイヤだっていう気持ちのほうが強いかも。
ひょっとして、忘れた人が気付いてすぐに戻ってくるかもしれない。
とすると、「放置」にすべきか。
しかし、もし悪いヒトが先に見つけたら…と考えると、そうもいかない。
結局届け出ることにしたけども、丸の内警察まで行くのは面倒なので、
ビルの管理人室に行くことにした。
こういう時にいつも心配することは、
管理人室に行くまでの間に持ち主に見つかって、
あらぬ誤解を受けてしまうのではないかということ。
「何で、オレの財布持ってんだヨ!」なんて言われたら、しどろもどろになりそう…
まあ幸い、そんな事もなく、無事に管理人室に届け出た。
面白かったのは、届出の用紙に、「お礼を受け取る権利を放棄する」というサイン欄があったこと。
落とし主が見つかった場合に、お礼として1割を受け取る権利というものがあるわけだけど、
それを主張するとややこしくなることがあるから、どうしますか?っていうことらしい。
管理人室で確認したところ、小銭入れの中身は5000円ぐらい入っていたけど、
別にお礼はいいから、その欄にサインしておいた。
イイコトをしたなぁと、かなりの自己満足に浸れた一日だった
しかし、ネガティブな要素の強い自分としては、すぐに、いやな考えが湧き出してきた。
「落とし主は実はトンデモナイヤツで、
『小銭入れの中に10万は入っていたハズだ!拾ったヤツが盗んだに違いない!』
と、訴えられる…」ということ。