レトロフェイク
あれ…こんなところにこんな古い店あったっけ?
良く見るとその古い店は工事中だった。
・・・?
いや、古く見える店を改装して作っているところだったのだ。
アンティークとか民芸趣味とか言うのではなく、外見がレトロなのだ。
店の名は「フジヤマ製麺」とある。
うどん屋でもオープンするんだろうか?
最近、このようなレトロフェイクな店が目に付くような気がするが、
このフジヤマ製麺は、何もないところに、
パッと老舗が登場してきたみたいで、妙な違和感を覚える。
置き場所を間違えた映画のセットみたいで、周りの景色からも全く浮いている。
はっきり言って、ウソ臭さが漂っているのだ。
レトロフェイクであっても、テーマパークの中のように、
均質化された空間にあっては浮き出すことは無く、やりやすいだろう。
例えば、新横浜のラーメン博物館はたまに行くけども、
ここは昭和30年代初期の下町を再現している。
あくまで再現であって実物ではないが、イメージが統一されているので、浮かないわけだ。
また、お台場のヴィーナスフォート。
17〜18世紀の中世ヨーロッパの町並みを模したショッピングモール
ということだけども、ホンモノのヨーロッパの街ではありえない。
どちらも、フェイクタウンとでもいうべき、大がかりな装置の中だけに通用するものだ。
しかし、現実世界でレトロで行こうというのはなかなか難しいことだと思う。
美味しくて雰囲気のある店ということでのレトロなら面白いけども、
味が伴っていないレトロな店構えでは、かえって痛々しさが増すばかり。
レトロフェイクは、簡単に老舗を作る方法ではないのだ。