正月飾り

玄関用の正月飾りを付けることにした。

やはり新年を迎えるにあたっては、なにかそれっぽいことをするということも、

けじめとして必要なのではないかと思うのだ。

ふだんは「けじめ」などという正しいコトバには拒否反応を示してしまう、いい加減なニンゲンだけども、

正月飾りぐらいは毎年欠かさないようにしている。


去年は、神社でよく見かけるようなひらひらの紙とワラとで出来た、

本当にささやかな飾りを取り付けたのだけども、その日のうちに風で吹き飛ばされてしまい、

カナシクも1階に落下していたのであった。

その後も風はたびたび吹きつけてきて、そのたびに、1階まで拾いに行き取り付けるという

賽の河原の石積みのような、ムナシイ作業を繰り返していたような記憶がある。

マンションの上階には意外に風が強く、

それに耐えられるだけの、ある程度の重量をもった飾りではないとダメなのだった。


今年は、去年の愚を繰り返さないためにも、それなりにキチンとしたものを求めることにした。

商店街の外れの花屋に特設の正月飾りの屋台が出ていて、「当店の飾りは国産です」などと

ハリガミがしてあったので、なんとなく良いものかなと思い覗いてみた。

店先には玄関飾りは見当らず、シメナワのような本格的な飾りがメインだった。

店員に玄関飾りを…というと、裏のダンボールをガサゴソとやって、

去年よりははるかにしっかりしたモノを出してきた。

値段を聞くと1000円もしないので、これはオトクだと思い買った。


さっそく家に戻り、飾りを取り出すと「中国産」とシールが貼られているではないか!

まったくコノヤロな屋台だが、隣のスーパーを覗いてみたら、買ったのと同じような飾りが

ほぼ同じ価格で売られていたのを見て、これが相場なんだなぁと納得して飾ることにした。

中国人ならばこの飾りが正月用のものだと分かって作ってくれていたような気もするし…