小名浜サイクリング③

五浦海岸を出発し、国道6号をひたすら北上する。

緩い坂を上り、小さなトンネルを抜けると再び福島県だ。

すぐに勿来海岸が右手に見えてきた。

勿来の関を通らなければ、実にあっけなく来れるものだ。

友達の一人がキャンプ用のガスコンロとコッヘルを持ってきているので、

湯を沸かしてコーヒーブレイクする。

別に凝ったものを作らなくても、こうして屋外で湯を沸かすだけでも、

アウトドアっぽい雰囲気を楽しめる。

沸きあがるまでの間、少し離れたところにある、「二ツ岩」まで行ってみる。

勿来海岸の波打ち際に屹立しているちょっとした岩だ。

波が引くタイミングを見極めて、うまいこと上陸(?)する。

岩の前には鳥居があることから神聖な場所と思われる。

よじ登ろうと思えば出来ただろうけども、バチが当たりそうな気がしてヤメた。

しばらくうろうろして、再び砂浜に戻ろうとすると、

何かさっきよりも潮位が上がっているような感じがする。

波が引いたところで渡ろうとしても、完全に波が引ききらないのだ。

グズグズしてるともっと事態が悪くなるので、ちょっと靴を濡らしたが渡ることにした。

神聖な場所に土足でどかどかと上がりこんだバチが当たったのだろうか。


コーヒーで温まった後は、再び小名浜に向け出発。

常磐バイパスに入る予定だったが、道なりに進むと旧国道6号に引き込まれてしまった。

植田の街を過ぎると、結構な上り坂が現れた。追い風だからさほど苦ではないものの、

ペダリングにぐにゃぐにゃとした違和感を覚えるようになった。

気になって見てみると、左側のクランクが外れかかっている。

慌てて六角レンチで締めたものの、普通こんなところ外れるだろうか。


宿の駐車場に戻った時には、すっかり暗くなってしまった。

走行距離は55.7キロに過ぎないが、いろいろ寄り道したため結構時間がかかった。

石段を登った上にある、今夜の宿、福田屋旅館に向かう。

早速風呂だ。温泉ではないものの、冷え切ったカラダには非常にありがたい。

月並みな言い方だが、本当にゴクラクだ。

夕食は、別室で供された。よくある大広間とか食堂チックな場所で、他の団体と一緒

というものではなく、われわれだけに用意された部屋だ。

すでに卓には、刺身の船盛、カニの船盛、さまざまな小鉢などが鎮座ましましている。

カニが船盛用の船に乗せられて出されているのも初めて見た。

まずはよぉく冷えたビールで乾杯だ。

先ほどの風呂で生き返ったカラダに、ビールが沁みいる。堪えられん!

どこから箸をつけていいか迷ってしまうぐらいの料理だったが、

さらに、メヒカリのから揚げが運ばれてきた。メヒカリは、いわきのあたりで良く取れる小魚だ。

白身で淡白な味わいだが、かなり旨い。ビールにぴったりだ。

メヒカリは他にも南蛮漬けで出されたが、これも旨い。

続いて、本日のメイン、アンコウ鍋が用意された。

澄ましたショーユ仕立てではなく、あん肝を溶いた味噌仕立ての「どぶ汁」だ。旨い!

しかし、刺身・カニ・鍋と、怒涛の勢いで繰り出される料理の数々…

今まで一番だと思っていた西伊豆の民宿のボリュームを超えている。

大満足の夕食だったが、3人がかりでも完食できず、それが心残りであった。

また、食べすぎで、ちょっとハラを壊してしまった。