浜名湖一周サイクリング

猪鼻湖神社(浜名湖)

青春18きっぷが残り1回分になってしまったので、浜名湖に行くことにした。

ネットで調べたら、レンタサイクルのターミナルが浜名湖沿いに複数箇所あって、

それぞれで借りたり乗り捨てたりすることが出来ることが分かったのだ。

始発電車で出発し東海道線を乗り継いで、浜松から3駅名古屋寄りの弁天島駅に朝の10時

ちょっとすぎに到着した。だだっ広いホームの割りに乗降客が数人だけでさびしい。

すぐ脇を新幹線が猛スピードで通過していった。

なんだか変わった構造をしていて、出口改札は見えているのだが、そこまで行くのにどうすればよいのか、

すぐには分からず迷ってしまった。

改札口でレンタサイクルのことを尋ねると駅前の観光案内所を教えられた。

下り階段に、「ようこそ浜名湖弁天島温泉へ」と書かれた案内表示があった。帰りの一風呂が期待できる。

案内所に行くと誰も居なかった。

しばらく待っても来ないので、駅前の国道1号を横断し弁天島海浜公園に行ってみると、

レンタサイクルはすぐに見つかった。

1,500円払って3段変速付きの軽快車を借りる。いわゆるママチャリだ。

高いと思うかもしれないが、借りたところで返却すれば1,000円が返ってくる。

夕方4時半が返却リミット。

後輪の空気圧が甘いようだったので、係員に空気入れを頼むと十分入っていると言われた。

あまり入れすぎるとパンクすると言ってきたが、しっかり空気を入れないと段差を越えたときに

パンクしやすくなるので、無理にでも入れてもらった。

サイクリングマップをもらって出発。

浜名湖は風が強いことがあるし、風向きも一定じゃないからねと不吉なことを言われる。


国道1号を少し西に進み、小さな橋を渡り、舘山寺方面に右折する。

追い風を感じつつ公園を左手に見ながら走る。ところが道路が直角に左折したら

いきなり結構な向かい風になってしまった。橋を渡ると一層風勢が強くなり先が思いやられる。

浜名湖大橋を渡る。橋の向こうには、なにやら展望塔らしきものが聳え立っている。

緩やかに左カーブを描く結構長い橋だが、欄干が十分な高さが無いように思われたので、

風にあおられて湖にドボンなんてことにならないように、車道寄りに走る。


浜名湖国際頭脳センター 2.5km」と書かれた看板が目に入った。

聞いたことが無いが、国際的な頭脳が浜名湖に集結しているのだろうか。ナゾな施設だ。

浜名湖国際ゲームセンター」…なんてのを作ってもうまくいかないような気がした。


村櫛レストという駐車場の先からしばらくすると、「浜名湖周遊自転車道」という立派な

案内標識が出てきて、いよいよ自転車専用道路に入る。ここまでは車道の脇の歩道だったのだが、

車道ともお別れだ。

浜名湖すれすれに走る道で、波をかぶったのかところどころで水浸しになっている。

向かい風は相変わらずだが、アップダウンが無いだけヨシとするしかない。

庄内町の付近は、右手はすぐ山になった。意外に景色に変化がある。

舘山寺温泉の街並みが見えてきた。黄色い観覧車も見える。

いよいよ近づいてきたときに、猛烈な悪臭が漂ってきた。イヌの飼育施設だろうか。

曹洞宗舘山寺に行く。大きな旅館の裏手に山上の寺に行く車道を発見したが、途中で上りきれなくなり、

押し歩きした。裏道を使わずに、最初から階段を上がればよかった。

寺なのになぜか御神籤があった。せっかくなので引いていると、小吉。ヤメとけばよかった。

寺からさらに山の上に、「穴大師」という面白そうなところがあったので行ってみる。

小さな洞窟の中に祠があり、文字通り「穴」大師だ。特に眼の弱い人においては功徳無量という。

出入り口は狭いが中は広い。ろうそくが何本か灯されている。

もし入り口が崩れたら…などといやな想像をしてしまい早々に出た。

更に上に行き、大観音、展望台と廻って見るうちに11時30分近くなってしまった。

地図を見たらまだ3分の1も来てない感じ。残り5時間しかない。この自転車はスピードが出ないので、

ひょっとしたら間に合わないかもしれないと思い始め、気持ちに余裕がなくなってくる。

引佐・細江に向かう道に入る。途中何度かルートを見失いそうになるが、サイクリングマップに

迷いやすいところの拡大図があり救われた。

地図には難所と書かれていた「大草山の坂」を越える。さほどの難所ではなかった。

東名高速のガードをくぐり、再び自転車専用道に入る。再びのどかな風景。

ここは奥浜名湖と呼ばれている。

一般道に合流してまもなく右手にみかんの無人販売所があった。一袋100円。安い。

腹も減ったし、水分も全然持ってきてないので、こぶりなやつを1つ購入。

なかなか旨いのでもう1袋購入した。とたんに自転車のカゴが重くなりハンドルが鈍くなった。

三脚付きの立派なカメラを構えている人たちが眼に入った。

視線の先を見ると鳥がたくさん居る。バードウォッチングの名所らしい。

一瞬チリチリとベルを鳴らしてみたい衝動に駆られたが、静かに脇を通過した。

サイクリングマップに無い橋が現れた。この橋を渡るとだいぶ距離が短縮されるのだが、

正規のルートを行くと、"当自転車道のシンボルとしてつくられた"という「みをつくし橋」を

通ることになるので、そのまま進む。みをつくし橋を渡ってみたが、特に感慨も無く、

遠回りしたなぁという気持ちのほうが勝っていた。

天竜浜名湖鉄道の線路が近づいてきて、西気賀駅に立ち寄る。無人駅だが、駅の中に「八雲」という

なかなか雰囲気の良さそうな洋食屋が入っていた。

12時半近いし、食べてしまおうかとも思ったが、残りの距離も分からずに、相変わらず時間に追われて

いるのでパスした。

寸座駅から先急坂を上ると、東名高速浜名湖SAが眼下に望む場所に出た。

これで奥浜名湖を一周したことになる。

このSAは高速バスの休憩地点なので何度か来たことがある。

ここから浜名湖作久米駅までは下り坂が続く。

踏み切りを渡り「瀬戸」方面への道を南進すると、いつの間にか湖岸から離れてしまった。

マップの案内では湖岸沿いのルートだからミスコースだ。湖岸に戻るべく適当な道に入ると、

親子連れに出会った。「湖岸に行くには…」と尋ねると、えっ?という感じで聞き返してきたので、

「サイクリングコースから外れてしまったようで…」と言い直すと、

「あぁ、海にはこの道を行けばいい」と細い道を示してくれた。

浜名湖のことを海と表現していたので違和感を覚えた。

急坂を下り小さな造船所の構内を突っ切り、湖岸のルートに戻れた。

やがて礫島(つぶてじま)という浜名湖でただ一つの島が見えてきた。

巨人ダイダラボッチが握り飯の中の石を捨てて出来たという伝説があるという。

幸福の科学の施設が現れた。敷地内ではあまり関係の無さそうなこどもたちが勝手に遊んでいた。

猪鼻湖沿いに三ケ日方面に北進する。

途中いかにも"リゾート"という表現がふさわしいような別荘地の中を通り抜ける。

再び天竜浜名湖鉄道が現れ、まもなく三ケ日駅に到着。

時刻は1時40分。駅員に、ここから弁天島までの距離を尋ねると25キロぐらいではとのこと。

のんびり行っても2時間だろうから、返却時間までには間に合うことが分かりほっとする。

しかし、うなぎを食べている時間があるかどうかは微妙なところだ。

国道301号を南進し、再び瀬戸に出た。猪鼻湖を一周したことになる。

銀色の吊橋と、赤いタイコ橋のある神社が見えてきた。景色の良い場所だ。

湖岸に下りて神社に行ってみた。猪鼻湖神社という名前で、海上安全などを祈願するようだ。

湖西市に入った。

サイクリングコースはR301から少し外れて、「洲の鼻」に向かう。細い道になり不安になってくる。

岬の先には道は通じていなくてがっかりした。コースはミカン畑への急登坂になり、押し歩きになる。

坂を上りきると、眼下に松見ヶ浦が広がりそれなりの景色になった。しばらく休んでいると、

軽トラのじいさんが不審そうな眼差しを向けて脇を通り抜けていった。

みかんドロと思われたのだろうかと思うとハラが立ってきて、軽トラ事故れ!と思ってしまった。

どうも、最近はすぐにムカついてしまっていけない。

急坂を下り、R301に合流。腹が減って力が出ないので、知波田駅そばのヤマザキデイリーで

サンドイッチを一つ買って食べた。

浜名湖でうなぎを食べる−というのはもうどうでもいいような気になってきた。

波田からまたR301を離れた。女河浦海水浴場の看板が出てきた。

「海水」浴場? 

さっきの道を尋ねた親子連れと言い、このへんでは、浜名湖のことを海というのだろうか。

鷲津駅の付近で、「天皇陛下御乗船阯」の碑が出てきた。昭和6年のことだという。

新居町に入り、「新居関所」を見学した。全国で唯一現存する関所建物だという。

旅籠紀伊国屋との共通券は400円といわれたが、今は15時30分で時間が無い。

関所だけの券(300円)を買った。

鎧が飾られていたので、写真を撮ろうとすると、なかなかシャッターが下りなかった。

別に何も感じなかったが、何かおかしな力でも働いたのだろうか。

昔の役人のマネキンがずらっと並び、それぞれの役割などの説明がざっとなされていて、なかなか親切だ。

夜は怖そうだな。

さらに資料館も見たがまったく駆け足の見学だった。

国道1号を弁天島へひた走り、16時7分にもとのサイクリングターミナルに到着した。

係員のおじさんは、自分の到着が遅いものだから、三ケ日駅のターミナルに電話をしたそうだ。

浜名湖一周したものの、時間切れになってしまう人も多いとのことだった。

1,000円を返してもらって、弁天島温泉もどうでもいいような気になって、

うなぎパイを土産に買って、来た電車に乗って帰った。

一息ついて携帯電話を見ると、係員からの着信・留守電が何件も入っていた。

そんなに不安だったのかなぁ・・