佐渡ロングライド2008(2)

結構すぐに深い眠りに入ったようだったが、2時10分頃いびきで起こされてしまった。

同室の人のうち2人がものすごいいびきで、たまらない。

ロビーのソファで寝ようとするが、自販機の明かりと運転音で結局寝れない。

2時30分になって着替えて、朝食会場に向かう。

朝からというか、実際は深夜なんだけども、また大したボリュームだ…

イカの塩辛も出ていたが、これは昨晩出ていればちょうどいいビールのつまみだったなぁ。

海苔は消化が悪いと聞いたことがあるので、箸をつけないで置く。

しかし、すっかりウェイトを増やしてしまった。

宿を出ると、まだ真っ暗。半そで半ズボンの格好ってのもあるが、かなり寒い。

バス停までとぼとぼ歩いていく。行きと違って、同方向に向かう人が居るので心強い。

バス待ちしていると、同室の一人が自走で会場に向かうのが見えた。

スタート前から、あのアップダウンの道のりを走るんだ。大したものだなぁ。

予定時刻より過ぎて大型観光バスが来た。乗り心地は銀太郎とは雲泥の差。

佐和田体育館の付近で停車して下車。もう明るくなっている。

用を足した後、預けた自転車を取りに行き、

会場隅のクロネコヤマトにデイバックを預ける。100円。だいぶ身軽になる。

サイクルジャージの人が多いが、自分はウェストポーチ。

自分の格好は、半そで、インナーパンツ、半ズボン、首からタオル、ウェストポーチだが、

こんな姿の人はどこにも居ない。完全に浮いた格好だが、気分は沈んでくる。

まず、首からタオルは論外だが、半ズボンじゃなくて、基本的にレーサーパンツだ。

4時30分近くになって列を作り始めたので、自分も早いところ並ぶ。

後方スタートになると、出発までかなりのタイムラグが発生しそうだからだ。

朝5時、集合場所から自転車を引いてスタートに向かう。足首に巻いたRTタグのチェック音が

いよいよ出発だという気にさせられる。

早々と並んだだけあって、スタートゲートからはそれほど離れていない位置に近づくことが出来た。

後方には延々と列が連なっている。

一斉スタートのマスド方式ではなく、12人が一組になり、数秒のインターバルをとりつつスタートする

ウェーブ方式とのこと。

出発10分前になって、急に小用をしたくなり、簡易トイレに向かうが行列していてアセった。

5時45分スタートのハタが振られた。自分のスタートはその2分後の5時47分だった。

快晴の海岸沿いを北上する。周りはハイペースだ。

すっかりのまれてしまって、自分のペースが分からなくなり、巻き込まれるカタチで、

時速35キロ前後で走っていく。これから長丁場だというのにヤバイ気がする。

昨晩の同室の人からは、「スタート時のハイペースに巻き込まれると後でくるから、

最初はゆっくり過ぎるかなと思うぐらいが良い」、と言われていたが、気持ちが先走っている。

暫くの間、昨日バスで宿に向かっていったルートを走る。早速登りが現れるが、

時速20キロ以上のペース。緩い下りでもあっという間に40キロ以上になる。

スタートから20キロ地点の相川エイドステーション(AS)に6時25分到着。

ワカメそばを食べる。スタッフは「食べ放題ですよ〜」と言っている。

昨日の注意事項と違うじゃないか!と思うが、基本的に満腹なので1杯でやめとく。

6時30分出発。せわしない感じ。

走っていると、沿道の家の人が出ていて、「頑張ってー」と応援してくれるのが

なんだか嬉しい。この後も至るところで応援を受けて、その瞬間だけは出力が

アップしていたような気がした。

走っていくうちに同じペースの集団(列車と言うらしい)が見つかるから、

そこに乗っていけばラクだと言われていたが、そんなものは全然無い。

周りはひたすら速くて、どんどん抜かされる。

アップダウンが続くが、海岸線の美しさがうんざり感を軽減させてくれる。

長いトンネルが現れたが、クルマが全然来ないので恐怖感は無い。

40キロ地点の入崎ASに7時18分到着。

ここではオレンジを数コ食べる。持ってきた飲料がアサヒのスーパーH2Oというものなのだが、

ASで準備されていたのも同じものだった。アサヒ飲料がスポンサーについているようだ。

最近ポカリスエットみたいな飲料のなかでは、このスーパーH2Oが気に入っているので

ありがたい。7時24分出発。

7時50分頃、有名なZ坂が目前に現れた。以前に大佐渡を走ったときには、

逆方向からだったので、あまりよく分からなかったのだが、確かにZ字型だ。

しかし、このZ坂…遠目にはZなのだが、見えない部分で道が曲がっており、Z以上に

坂が続いている。みなさん軽量なアルミやカーボンだが、ただでさえ重量のあるわが体重に加え、

鈍重なクロモリときているので大変だ。

アセらずムリせず、時速10キロ前後で着実に進んでいく。

このあたりになったら、周囲のペースで乱されるようなことは無くなった。

高度を稼ぐにつれて眼下に雄大な景色が広がり気分が良い。

登ったら下りだが、道幅が狭く速度は抑制される。

8時20分、大野亀の坂の下に到着。眼前に厳しそうな登りが見える。

JAMISオーロラはMTBのスプロケットなので、インナーローにすれば

たいていの急坂はOKだが、ロードレーサー組はハイギアードで四苦八苦、蛇行する人も居て大変そうだ。

72キロ地点のはじき野ASに8時43分到着。ハンガーノックになる恐れがあったので、

おむすび、バナナ、オレンジとパクつく。食糧補給は全ASで1品目1回限りと言われていたが、

とてもじゃないがそれでは走れないので食べてしまう。

8時49分出発。いままでのようなキビシイ坂道はあまり無くなって、海岸沿いの比較的平坦な

道を両津に向かって走る。

前方に違う色のゼッケンの人を見かけた。130キロの参加者だ。

210キロの人たちのスタート後の出発だから、どれだけ速いんだろうかと驚く。

同じようなペースの列車を見つけて、両津まで走る。

9時55分、100キロ地点の両津BSに到着。弁当ステーションということBSだそうだ。

12時30分がタイムオーバーだから、かなり安心する。

おにぎり2個とミートボール2個、ウィンナ1個の弁当(?)及び海洋深層水を受け取り、食べる。

しかし箸が無いものだから、おにぎり以外を食べるのに苦労する。

さらに、次のASまでは40キロ先なので、持ってきたゼリータイプの補給食をハラに入れる。

トイレに行こうとしたが、行列だったので、佐渡汽船乗り場付近の公園のトイレに行くことにして、

10時11分出発。目当ての公園のトイレは誰も居なくて正解だった。

久々に登りが現れる。と言って嬉しいハズもなく、のろのろと登っていると、ギャルに追い抜かれた。

一体どうなっているんだ。

しかし、下りでは重量のあるからだをフルに活用してどんどん加速する。

下りの後の登りはなるべく慣性を利用する作戦。登りに弱くて、下りに強いのだから仕方が無い。

風島が見えてきた。以前小佐渡を走ったときに寄り道したところだが、トラロープが張られて

島に入れないようになっていた。

相変わらず列車が無いと思ってたら、自分が列車の先頭になってた。後にぴたっとくっつかれながら

走るというのは、プレッシャーになってくる。

しかし、ちょっとした登りで次々と抜かれてしまった。風除けに利用されて、ポイってことか。

松ヶ崎の集落手前で「ASまで500メートル」の表示が出てきた。

が、500メートルをとっくに過ぎたと思われるのに、ASらしきものは見当たらなかった。

いつの間に通過してしまったのか、全然気が付かなかった。

とすると次の両津〜小木AS間の62キロは自分の手持ちの食料でつなぐしかない。

同じようにあれ?と思った人が居たようで、コースを戻ってくる人も何人か見かけた。

暫く走ると、ASが見えてきた。

さっきの500メートルの表示が間違っていたということだろう。

11時34分、140キロ地点の多田ASに到着。背中と肩と腰が痛い。

太鼓の演奏をやっていた。バナナ、オレンジ、おにぎりを食べる。

とにかく食べなきゃやってられない。

11時39分出発。またまた登り。がっくりくる。

これまでもアップダウンについて書いてきたが、小さいのまで含めると無数の

アップダウンがあるのが佐渡の道の特徴。

ちょっとした坂ならダンシングで一気にやりすごさないとイヤになってくる。

12時32分、162キロ地点の小木ASに到着。

ここではマッサージのサービスがあり、これを楽しみにここまで走ってきたというのもある。

20分待ちと言われたが、構わないで待つ。

芝生で寝転んでいると、昨晩の同室の人が自転車から降りてくるのが見えたので挨拶する。

一通りマッサージしてもらった後、ほかに気になるところはありますか?

と聞かれたので、腰が痛いと言ってさらにマッサージしてもらう。

ただ、これから先も運動することになるので、あまり刺激するのは良くないとのことで

軽めで終わった。

しかし、だいぶラクになった。感謝。

地獄に仏というか天使みたいだと言ったら、笑ってた。

おにぎり、オレンジ、梅干をパクついて、13時22分出発。

50分も休んでしまった。休み過ぎたか。

殆どの人がマッサージを受けないので、だいぶ後続の人に抜かれただろう。

しかし、ゆっくり目で走ってきた人たちばかりらしく、周囲の走行速度もだいぶ落ちている感じがした。

ペースが合わないので、追い抜いていく。

アップダウンも増えてきた。眺めが良いので、深浦で小休止。

その先に白亜の沢崎灯台が見える。なかなかの眺めだなぁと思ってたら、

リアのトップギアから下にチェーンが落ちて、噛んでしまった。

ちょっとだけ奮発してデュラエースのチェーンにしたのに。

それほど時間もかからずチェーンを復帰して出発。トンネルを抜け、漁村地帯の細い道を走る。

海岸は塩を吹いたようなというか、奇妙な感じに白くなっていて、不思議な光景。

しかし、若干の逆風が出てきた。いままで順調だなぁと思ったが、嫌な予感がする。

まもなく今日一番と思えるような急勾配が現れた。なんで後半になってこんなのが出てくるんだ!

と思ったが、昨日のDJの「170キロを過ぎてからが面白い」という言葉を思い出した。

面白いというのは面白くないということだ。

14時19分、180キロ地点の素浜ASに到着。カルトピアなんて看板も立っている。

カルト教団」かと思ったが、カルチャー的な意味合いでカルトと名づけたのだろう。

目にアセが入って痛いので顔を洗う。バナナとオレンジ、手持ちの補給食などを食べる。

14時27分出発。今来た道を少し戻って、左折。すると、いきなり登りが始った。

地図を見ると高低差140メートルと書かれている。今日一番の高低差だ。

押している人もちらほら見かける。自分はインナーローでノロノロと登る。

やがて、キャハハ!と黄色い声が聞こえて、談笑しながら女の子が列車を率いて追い抜いていった。

オンナのふりして中身はオトコだろと思ってしまう。

しかし、この坂、どこまで続くのかと思うぐらいに、続く続く。

以前に富士山1周をしたときに、同じような感じの坂があったなぁなどと、ぼんやり考える。

登りきると、下り。貯金を使うのはあっけない。

西三川ゴールドパークを過ぎて再び登り。

登りきると、さきほどの列車が前方を走っているのが見えた。

ちょっとした下りがあって抜き去るが、やがてシャーという走行音とともに例の一団が

抜き返してきた。張り合うのはやめて混ぜてもらう。というか勝手にくっついていく。

集団で走ると、風圧が相当低減されるんだなぁと思った。時速35キロ前後で進み、

15時33分、210キロ地点。ゴールに辿りついた。

ゴール直前で自分の名前が読み上げられたのが感慨深かった。

途中でタイムオーバーしてリタイヤもあり得るかなぁと思っていたが

自分としては予想以上に早く到着出来たと思う。

RTタグを係員に渡し、カニ汁を食べ、完走証を受け取る。

版画で朱鷺が2羽描かれている和紙の紙切れ一枚だが、嬉しいものだなぁ。

余韻に浸りつつ、ふと携帯電話を見ると、実家からの着信記録が数件あった。

折り返すと、「叔父が亡くなった。火曜に告別式があるから出て欲しい」とのこと。

休息のため新潟で1泊して、火曜日に出勤する予定だったのだが、こうしては居られなくなった。

月火のニ連休では、仕事のスケジュール上かなりマズイことになる。

急いで帰って、月曜と火曜の休みをチェンジしなければならない。

時計を見ると次発16時のシャトルバスの出発時刻まで5分しかない。

そのバスを逃すと、佐渡汽船は最終便にしか乗れなくなる。

係員にも手伝ってもらって、スバヤク輪行をしてバスに乗り込み、

両津からは差額を払って、フェリーからジェットフォイルで新潟に向かう。

ふるさと村まで自走して、クルマに放り込み、新津の温泉でとりあえず汗を流し、

友人宅にちょっと立ち寄らせてもらい若干の休憩を取り、

関越をすっ飛ばして、川口に夜1時頃に到着した。