告別式

福島のいわきの叔父の葬儀に行った。

しかし、めちゃくちゃな雨だ。傘をさしても全然意味が無い。

今日仕事だったら、会社に着くまでに全身濡れネズミだったろうな。

しかし、なんで濡れねずみって言うんだろう。濡れネコとか言わないし。

クルマの中から、雨でひどいことになっている歩行者を眺めながら、妹のところに到着。

そこから妹と一緒に、彼女のクルマでいわきまで行く。

雨に加えて風も激しくて、クルマが時折煽られる。

途中、ヒマそうなPAで朝飯を食べようということで、美野里PAに立ち寄る。

天たまソバを注文。しかし食堂にはハエが飛び回っていて、もう使わないことに決めた。


告別式会場のセレモニーホールに着いても、風雨は相変わらず激しい。

おまけに駐車した場所がちょうど水溜りになっていて、靴が濡れてしまった。

受付でご香典を渡す。

十年以上も顔を合わせて居なかった親戚・いとこの顔が見える。

子供の頃は親に連れられて、正月・お盆とよく会っていたのだが、いつの間に疎遠に

なっていたんだろう。この先も、こういう場でないと会う機会が無いのかな…と

思ってしまう。

会場に入り、祭壇の故人に一礼し焼香。次いで遺族に一礼。叔父の長男、すなわち

私のいとこが喪主なのだが、それらしい姿がどこにも無い。

と言っても、あまりジロジロ見るわけにもいかない。

しばらく別室で待機して、告別式が始まった。

故人の来歴などが流されたが、カリフォルニア生まれと聞いて驚いた。

今まで全然知らなかった。

読経、弔電、弔辞などが続く。外はものすごい風で、建物のどこからかヒューという

音が聞こえてくる。

改めて焼香となったが、参列者の格好を見ると、消防団のはっぴ姿の人、

ゴム長靴のジイさまなど、いろんなひとがいた。

義理で集まってくるような都会の葬式であれば、「何あの人!?」みたいな

白い目を向けられないためにも、服装をはじめコマゴマしたマナーが必要なのだろうが、

しかし、ここではみんな知った者どうしであり、悼む気持ちがあるからこそ、

別にそれほど変なこととは思われていないようだ。

告別式が終わり、次いでバスに乗り寺に向かう。また雨の中か、イヤだなと思ったが、

会場を出ると雨は上がっていた。

しかし、寺に着くと再び大雨。まんまとヤラレタ。

もう晴れるだろうと思って傘を持たない人が、自分を含めて大勢居る。

バスからなかなか降りられないが、小降りになったときを見計らい寺へ駆ける。

墓への納骨は雨で中止。読経の後、焼香。

再びセレモニーホールへ戻り精進落とし。刺身は港町だけあって新鮮だった。

会食では沈痛な感じは余りせず、みな談笑している。

こんな場だけども親戚一同久々に集まって、話に花が咲く。

誤解される言い方かもしれないが、叔父の死をきっかけにした、

ちょっとしたイベントみたいだ。といっても、不謹慎という感じなのではない。

そういえば、10年前の祖母の葬儀の時も同じような感じだったなぁ。

喪主、すなわち、いとこの挨拶があった。もともとひょろっとしている感じだったが、

なんというか、ルオーの描くキリストみたいな姿カタチで、以前の面影を見出すのが

難しかった。月日は人を変えていくんだなぁと思った。ただ声だけが変わっていなかった。

いとこたちはいろんな職業に就いていたが、電力会社に入ったひとの話を聞くと、

どうやら結構な収入らしい。1人はBMWの大型バイクを買ったとか、

1人は2軒目の家を建てたとか言ってる。つまらん…聞かなきゃ良かった。

叔父の死因の話になったが、検診に行って健康状態に太鼓判を押されたその日の夜に、

風呂場でくも膜下出血で亡くなったとのこと。

普段から人一倍健康に気遣っていた人だったとのことだが…

帰路はすっかり晴れ上がった。

青空を眺めていたら、人の一生ははかないなぁという気持ちになっていた。