信濃大町〜糸魚川〜直江津サイクリング

臨時快速ムーンライト信州81号で信濃大町まで来た。

この列車の終点は白馬だから、もっと先まで行けたのだけども、

信州の爽やかな朝のサイクリングを楽しみたかったので、手前で下車したのだ。

大町駅前は朝早くにもかかわらずタクシーが結構停まっていた。

黒部ダム方面への客をアテこんでいるようだったが、下車した客数に対して

明らかに過剰な台数だった。

駅前で自転車を組み立てる。同好の士は居なかった。

しかし、タクシードライバー達の猛烈なタバコのケムリがこっちまで漂ってきて、

期待していた「爽やかな信州の朝」が早くもコケた。

白馬方面に向かって駅前の通りを走る。クルマの通りは無い。

下水溝から水が流れる勢いの良い音が聞こえるが、雑排水の類ではないだろう。

最初のセブンイレブンで、スパゲティとおにぎり2つと日焼け止めを買う。

昨晩から何も食べてないので、スパゲティを食べて、5時40分頃出発。

基本的に下り坂だけだと思っていたが、ダラダラと上っているようだ。

やたらと汗が出る。

寝不足でコンディションが悪いせいもあるだろうが、湿度も相当に高い。

ちっとも爽やかじゃない。

国道148号に合流すると、交通量が増えてきた。大型トラックが多い。

国道から外れて仁科三湖の一つ、木崎湖に向かう。温泉旅館が軒を連ねていた。

湖岸にはサイクリングロードっぽい道があり、そこに入る。

静謐。明鏡止水。

湖面には山並みが映り、水鳥が列を成してすーっと進んでいる。

雲で見え隠れしているが、奥には北アルプスの山並み、雪渓も見える。

おぉ、これだこれだ、まさにイメージしていた信州がここにあった。

とヨロコびもつかの間、サイクリングロードはここまでの旨が書かれた

地元中学が作成した看板が現れ、舗装は終わってしまった。

大糸線の踏切を渡り、再び国道148号へ。

緩いながらもさっきより勾配がキツくなったような感じ。

時速20キロも出ない。どうも調子が悪い。

続いて、中綱湖へ向かう。かなり小さな湖であっという間に過ぎてしまった。

そこから青木湖へ向かう。これら湖は基本的に国道148号沿いにあるが、

国道がアップダウンなのに対して、湖岸沿いの道は比較的平坦で助かる。

青木湖の向こうの山並みはスキー場でハゲ山と化しており痛々しい。

小さいトンネルを抜けると、再び国道148号に合流。

まもなく白馬村の境に差し掛かった。ここで登りが終わった。

佐野坂という気分の良い下りが続き、神城まであっという間に来た。

下りの途中で「バイカモ」と書かれた手書きの看板が目に入った。

梅花藻は一度見てみたかったが、登り返すのが面倒でそのまま過ぎた。

今になって、見ておけばと後悔。

チャラチャラした白馬駅前を通り過ぎる。あとは姫川沿いに日本海まで

行けばいいのだから、基本的に下りだ。

今までの開けた景色から急に谷が狭くなってきた感じだ。

白馬大池駅に南小谷に向かう大糸線の列車が停車していたのを見かける。

間もなく列車は出発したが、カーブがきついのか結構ノンビリ進んでいる。

面白いのでしばらく競走する。

途中で国道に登りが現れる。とたんにペースダウンする。

相当引き離されただろうなぁと思ったが、南小谷駅には僅かに当方が先着した。

列車と自転車の競争など、後にも先にも無いだろう。

下里瀬から、旧道に入る。現在の道は自動車にとっては便利だろうが、

交通量は多くてうるさいし、危なっかしいので、旧道の存在はありがたい。

中土駅の手前で、糸魚川からのディーゼルカーが姫川の鉄橋を渡るのに

遭遇した。なかなか絵になる。

中土から先、現国道に合流する交差点があったが、そのまま旧道を進む。

暗いトンネルを抜け、しばらく走ると、セメントだから砕石だかの工場があり、

間もなく北小谷方面通り抜け不可の看板が出てきた。

旧道は橋が流されたか、崩落したのだろうか。

さきほどの工場まで戻り、出勤してきたらしい社員に尋ねると、

道は続いているけども、そのタイヤじゃムリと言われる。

まともな舗装道路では無さそうなので、あきらめて国道148号に戻る。

長いトンネルが連続する。

交通量が多く、路肩が余り無いので恐ろしいので、一段高くなっている歩道っぽい

ところを走る。

しかし、まともな歩道じゃなかった。工事の資材っぽいのが置いてあるわ、

おかしな穴や段差が現れるわで、気が抜けない。

車道におりて走ることにしたが、トンネルの中ではクルマの走行音の反響が

大きく、心臓に悪いことこの上ない。

どんなに大きなトラックかと思うと軽トラだったりする。

ホンモノの大型トラックに後に来られると、気が気でなかった。

完全に自分を追い抜いてないうちから、左側に寄ってくるのが何台も居たのだ。

薄暗いトンネルでは路面状況もあまり把握できないので、無闇にスピードを上げるわけにも

行かずに難儀した。

トンネルを抜け新潟県に入ると、だいぶ標高が下がってきたのか暑くなってきた。

スノーシェッドが連続して現れるようになった。カーブの連続だが、クルマのスリップ防止の

ために路面に切られたタテ溝が自転車にはちっとも優しくない。

相変わらず大型車は多いが、自分も速度が出ているから後ろの車が追い抜けないでいる。

下りでラクするハズだったのに、ヒヤヒヤしっ放しでちっともラクじゃなかった。

糸魚川には8時42分着。ローソンに立ち寄り、紙パックの100%ジュースをがぶ飲み。

先週の須坂のI氏に電話を入れる。

直江津まで迎えに来るということだったが、直江津から輪行して豊野まで行く旨伝える。

それにしても糸魚川は暑い。

信濃大町から白馬まではムシムシしていたが、それでも信州だけあって、

今よりは涼しかった。

熱中症気味なのか、ロクにメシもとらずにきたせいでハンガーノック気味なのか、

大幅にパワーダウンしている。

でも、まあこの先は旧北陸線を利用した久比岐自転車道だから、平坦に違いない。

と思ったが甘かった。海沿いの国道8号は、向かい風だった。

おまけに完全に平坦ではなく、アップダウンも現れる。

カラダが参っているから、余計に敏感に感じられる。

道路左手にサイクリングロード入り口が見えてきた。

すぐ休憩スペースがあり、水をがぶ飲みする。アミノバイタルのゼリーも口にする。

国道よりも海側で景色は最高だが、力が出ない。

地元の中学生にまで抜かれてしまった。

川を渡り、国道8号を横断し、いよいよサイクリングロードは旧北陸線を辿る。

が、今までにも増して起伏が出てきた。話が違うぞ。誰も話してないけど。

ところどころトンネルが出てきて、そのたびに少々涼しい思いをするのが救い。

能生で一休み。児童館の広場っぽいところに水道があったので水分補給。

本当は食べなきゃいけないのだが。

道の駅能生が見えてきた。サイクリングロードからも国道をオーバーパスする形で

道の駅に行くことができる。

寄り道してみるが、カニをはじめとした海産物がメイン。

土産を買う気力も無く、また直江津からの列車の時刻が気になり、ちょっと店を

見てすぐ出発。

この先も小さな起伏とトンネルの連続。

暑さ対策とエネルギー補給を誤ったため、時速20キロペースも維持出来ない。

こんなことなら大町じゃなくて、糸魚川から出発すれば良かった。

しかし、このサイクリングロードは、サイクリストの姿が殆ど無い。

たまに地元の人たちが通るだけで、景色は最高なのだが、誠に寂しい限り。

一般道と交差するところでミニバンが1台停まっていた。

海水浴の着替えをしているオネーサンが居てアセった。

国道からは見えないとは言え、無防備過ぎる。

サイクリングロードの終点に至る。しかし、直江津の市街はまだまだ先だった。

がっかりする。

海の家が軒を連ね、駐車場はクルマで一杯。海水浴客で賑やかな海岸。

一方ヨロヨロと汗だくで走る自分。何やってるんだろうという気分になってくる。

余力が殆ど無い状態で直江津駅に到着。11時半ごろだったか。

走行距離124.4キロ。最高速度66キロ。

自転車を輪行状態にして、11時54分発の長野行き列車に乗る。

モルツとおにぎり。カラダに沁みわたる。

豊野には、13時17分。直江津よりも標高が高いはずなのに、変わらぬ暑さ。

I氏が迎えに来てくれていた。先週会ったばかりなので、不思議な感じ。

とにかく汗をナントカしたいと言って、豊野温泉りんごの湯に入る。

この前の須坂の温泉と同じ400円で良心的。鉄分を含んでいるのだろうか、

若干土っぽい色をしている湯だった。

温泉では農産物直売所が併設されていて、きゅうり、トマト、桃などを買う。

桃の安さは特筆モノ。4個1パックで200円!

しかし、後で荷物になって参った。

かっぱ寿司で昼飯をご馳走になり、JR吾妻線の終点の大前駅まで送ってもらった。

大前駅無人の寂しい駅。駅前にはつまごい温泉の旅館がある。

なんとなく、気になる旅館だ。今度入りに来たい。

駅前の川に下りて、ジュースを飲みながらI氏としばらく話す。

やがて、折り返しの高崎行き電車が入線してきてI氏と別れた。

大町⇒糸魚川か、糸魚川直江津か、どちらか一方に絞ったほうが良かった

サイクリングだった。