笛吹峠ポタ

マップルを眺めていたら嵐山と鳩山の境に笛吹峠という文字を発見した。

このあたりの町村で峠と言えば、おおかた比企と秩父を結ぶものを指すと思うのだが、

八高線の西側にも位置していないという場所に、「峠」が存在することに驚いた。

比企丘陵と呼ぶには余りに街に寄っているのだ。

また、「笛吹峠」の周りにはほかに峠と名の付く表示は地図には無いのも気になる。

笛吹という、澄んだようなネーミングにも惹かれて、登り坂は好きではないのだが、

探検?に行くことにした。


近場だからということで、15時近くに出発。本当はダラダラしていただけだが。

今回は久々にジェイミスオーロラで行くことにする。

ドルバックに替えチューブとタイヤレバーを入れたが、出発後にインフレータを

持ってくるのを忘れたことに気づく。やれやれだ。

走り始めてしばらくするとやけに心臓がドキドキする。運動不足のせいだろう。

田島で新大宮バイパスと別れ、荒川に沿った感じの県道を走っていく。

治水橋を渡り、古尾谷八幡神社を経て、国道16号に合流。伊佐沼近くの卸売団地を抜けて、

国道254号へ出て、東松山に向けひたすら北上。

交通量の多い国道はなるべく通りたくないのだが、ごちゃごちゃした

県道やら市道やらを通ると結局時間がかかるので仕方ない。

単調な国道254号を走り、緩い登り坂の後、東松山に入る。

さて、地図も持たずに来たのでここからは慎重にやらなければならない。

いや、慎重にするなら最初から地図を持ってくるべきだった。

あいにく大きなマップルしか持ち合わせていないので面倒くさいのだ。

ツーリングマップルを買わなきゃなぁ…

ま、「上唐子」という交差点で左折し、都幾川を渡ったら、最初に現れる道を左折、

すると笛吹峠に至る…ということを守ればいいだけだから、簡単なのだが。

東松山インターを過ぎて、国道254号バイパスを離れる。「上唐子東」なんて交差点が

出てきた。

…あれ、ここ曲がるのだったっけ?

クルマでは何度となく通った道だが、カーナビでうろ覚えだから、経験も余り意味が無い。

ちょっと北上したら、上唐子の交差点が出てきて一安心。

下り坂の後に都幾川を渡ると、左折できる道が現れた。

しかし、なんとなく峠に通じる感じがしない。

??

感を頼りに次に左折できる道を行くと、住宅地の中を通り再び同じ道に戻った。

やっぱり、地図は必要だ。

しかし、ちょっと進むと、ハイキングコースの指導標が現れ「笛吹峠」の文字。一安心。

のっけから急勾配の道が…と言いたいところだが、拍子抜けするぐらいに緩い。

右手に、「縁切橋」の案内板が現れた。「橋」らしいモノはどこにも見えないが…

案内板そばの解説には「坂上田村麻呂が都から追いかけてきた妻を追い返し、縁を切ると言った云々」

の旨の書かれていた。とんでもない麻呂ね。

坂といえば坂だが、緩々と上っていくと、人家が点在して平坦になり、やがて下りになり、

小川を渡ると再び登りの始まり。なんか良く分からん峠だ。

ハイキングコース道標から10分少々で笛吹峠のサミットに到着。

あっけなさ過ぎて拍子抜け。森に囲まれて眺望は開けていない。

公衆トイレと駐車スペース。それに縁切橋のところにあったのと同じタイプの案内板で

「笛吹峠」の表示。

ここにも解説板があり、峠の由来が書かれていた。

ここは戦地であり、小手指ヶ原がどうのとか、越後に逃げ延びるだの、

敗退する時に誰かが笛を吹いたことが云々…

のようなことが書かれていた。(違ってるかもしれない。)

やっぱり、歴史のある峠だったのだが、小手指ヶ原の文字を見て、

急に古武士の霊とかがその辺にウロウロしているんじゃないだろうなぁと

気味が悪くなってきた。

寂しい峠ではあるけれども、時々車の交通があり、決して人気が無いわけではないが…

あんまり長居したくない。

そういえば、さっきから妙な視線を感じるような…

ペットボトルがカラになったことに気が付き、公衆トイレのところにあった水道で

補給しようとすると、バルブを閉じているのかちっとも出てこない。

ちぇ!と思いながら何回かガチャガチャと押していると…

!! 



やっぱり、何も出てこなかった。

妙な視線の正体は、少し離れた駐車スペースにいつの間に赤い車が1台停まってて、

そこからオッサンがこっちを見ていたのだった。


しかし、今までのは恐怖の序章に過ぎなかった。

笛吹峠の標識のそばに、小さな看板があるのに気が付いた。

何だろ?

!!!


「熊出没注意」

北海道に行くと売られているステッカーのようなクマのキャラと共に、

平成20年5月27日に目撃情報の文字。

まだ晩秋じゃないから、冬眠に備えて活発に動き回ってはいないと思うけども…


笛吹峠を鳩山側に下る。短くて緩い下りだが時速60キロ出た。

県道と合流して峠を振り返ると、余りの標高の低さに峠じゃなくて丘だなぁという印象。

帰路は坂戸、鶴ヶ島、川越を経て、往路を辿る。

19時過ぎに帰宅。すっかり真っ暗になってしまった。走行距離106キロ。